【Rapsodoの回転数は、高ければ良いわけではない】
Rapsodoで投球を計測すると、選手が最初に見るのは球速です。
そして、その次に気になるのが「回転数」。
「2000回転を超えた!」
「前より回転数が上がった!」
数字が伸びると、やっぱり嬉しいと思います。
ただ、ここで一つ知っておいてほしいことがあります。
回転数が高いからといって、必ずしも良いボールとは限りません。
回転数は大切なデータです。
でも、回転数だけでは、そのボールが打者にとって打ちづらいのか、どんな軌道で進んでいるのかまでは判断できません。
回転数は、ボールが回っている「総量」
Rapsodoに表示される回転数は、ボールが1分間に何回転するかを示した数値です。
この総回転の中には、ボールの変化に影響する「トゥルースピン」と、進行方向に対してらせん状に回る「ジャイロスピン」が含まれています。
例えば、同じような球速・回転方向の4シームを比べたとします。
2200回転・回転効率95% → トゥルースピンは約2090回転
2400回転・回転効率70% → トゥルースピンは約1680回転
総回転数だけなら、2400回転のボールの方が上です。
しかし、実際に軌道へ影響している回転は、2200回転のボールの方が多くなります。
つまり、回転数が高くても、その多くがジャイロ回転になっていれば、期待した変化量が出ないことがあります。
これが、回転数だけで球質を評価できない理由の一つです。
4シームは「回転軸」と縦の変化量を見る
4シームで、いわゆる「ノビのあるボール」を目指す場合、回転数と一緒に確認したいのが、
回転方向
ジャイロ角度
回転効率
縦の変化量(ホップ成分)
です。
同じ回転数でも、きれいなバックスピンに近いボールと、回転軸が横へ傾いたボールでは軌道が変わります。
回転軸がバックスピン方向に近く、変化に使われる回転が多ければ、ボールは重力による落下に強く抵抗します。
実際にボールが浮き上がるわけではありませんが、打者が予測した軌道よりも落ちずに進むため、バットの上を通過しやすくなります。
反対に、回転数が高くても回転軸が傾いていれば、横変化が大きくなったり、思ったほどホップ成分が出なかったりします。
だから見るべきなのは、回転数の順位ではなく、その回転がどんな変化を生んでいるかです。
回転効率も、高ければ正解ではない
では、回転効率を100%に近づければ、すべての球種が良くなるのでしょうか。
答えは「違う」です。
4シームで縦の変化を大きくしたい場合は、高い回転効率が一つの武器になります。
一方で、スライダーにはジャイロ回転を使って、小さく鋭い変化を作るタイプがあります。
シンカーやチェンジアップも、4シームのような強いホップ成分を目指す球種ではありません。回転を抑えたり、回転方向を変えたりすることで、沈みや横変化を作ることがあります。
球種によって、必要な回転数・回転軸・回転効率は違います。
回転効率が低いから悪いのではなく、狙った球種になっているかを見ることが大切です。
球速が違えば、回転数も変わりやすい
もう一つ注意したいのが、球速との関係です。
一般的にストレートは、球速が上がると回転数も増える傾向があります。
そのため、120km/hで2000回転の投手と、140km/hで2200回転の投手を、回転数だけで単純に比べることはできません。
他の選手との比較よりも、まずは自分の球速に対してどのくらい回転しているのかを見る。
そして、同じ球種・近い球速で、回転軸や変化量がどう変わったかを継続して確認する。
その方が、自分の成長やボールの特徴を正しく捉えやすくなります。
大切なのは「どこで、どう使うボールか」
縦の変化が大きい4シームなら、高めで空振りやフライを狙う。
横変化や沈みが大きいボールなら、低めや打者の手元へ動かしてゴロを狙う。
同じストレートでも、球質によって活かしやすいコースや配球は変わります。
数値を理想に近づけることが目的ではありません。
自分のボールの特徴を知り、試合で使える形にしていくことが目的です。
PitchersAcademyでは、Rapsodoの数値だけで良し悪しを決めることはしていません。
球速・回転数・回転軸・ジャイロ角度・縦横の変化量を確認し、実際の投球映像やフォーム、本人の感覚、試合での結果まで合わせて見ていきます。
回転数が高いか、低いか。
そこで終わらず、
「自分は、どんなボールを投げているのか」
「そのボールを、どう使えば打者を抑えられるのか」
まで考える。
データは、選手を評価するための点数ではなく、成長するためのヒントです。
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